面白エッセイ

j1198 女の夜這い

ちなみに、この地区の島に、夜這いは、女がする事になっている島があるそうだ。夜這いの作法は、ノーパンが原則だとの事。そんな島で生まれ育っていればよかった、と誰も思うだろう。ノーパンを方言ではマルバイと言う。女の夜這いはマルバイだー!あるボス的...
面白エッセイ

 j1196 社長

二十歳で島を出た時は、着の身着のまま、石垣島、沖縄本島で、日雇い労働者として旅費を工面、少しでもいまわしい記憶のある島から離れたい、と大阪まで辿り着いたのである。大阪でペンキ屋、左官や土木作業員等転々し、溶接工になった。暇になると、どうして...
面白エッセイ

j1195 大金

昭二は、夜這いの話が再燃し、明子の身にこれ以上災が起きては、とそそくさと帰り支度をした。明子の縋る気持を振り切り、来た道をとぼとぼ帰る昭二の背中は泣いていた。昭二は、やはり自分の家には寄らず、そのまま港から四十年前と同じ、誰にも気づかれず島...
面白エッセイ

 j1194 土下座

夜這いがあったあの日、昭二を受け入れ、ささやかな世帯を持ちたいと思っていた。昭二が後手に、柱に縛られ泣いている時、なんで父親に自分の気持ちを打ち明けられなかったのだろうか。何度も、何度も後悔をしてきた。昨夜もトタンに囲まれた風呂場、ドラム缶...
面白エッセイ

 j1193 他所者

そんなある時、島に一人の男が立ち寄った。手ぶらながら、ネクタイに背広姿、島人の姿とは違うので、明らかに他所者、旅人である。他の客が船から降り終わった後、一人降りて来たが、人が群がっている所は避け、懐かしそうに探索している。帽子をかぶり、サン...
面白エッセイ

j1191 真っ赤っか

とうとう夜這いに移っていたのである。先輩が伝授していた通り、身をかがめ、こっそり家の裏へまわる。そして、物音一つしないよう、明子の寝ている裏座の戸ををやっと入れるくらいの隙間で開ける。島の家の造りは、一番座、二番座があり、必ずと言っていい程...
面白エッセイ

 j1190 注意点

日本の南端、この黒島ではその昔、夜這いは日常の出来事で、公然と行われていた。勿論、夜這いが成立するには、お互いがある程度、好意を持ち、受け入れられていたのである。昭二は二十歳。隣村の十八歳、明子に、ほのかな想いを寄せていた。夕陽が真っ赤に沈...
面白エッセイ

 j1189 珍人生

この島に、30年前に本土から移住してきた人がいる。コンクリで立派な家を建て、そのかわり冬場しか島にはいない夏場は本土へ帰るのである。その家が空き家にならないよう、管理の名目で夏場だけY氏が利用している。当然30年来、島へ来ているから、年齢的...
面白エッセイ

j1188 スケベーじーさん

南の島には、個性豊かな老人達が多い。自他共に認める、島で一番のスケベーじいさんがいる。水着姿の観光客、女の子達が集まる休憩所へ何時もちょこちょこ出かけるじいさんで、若いピチピチした女の子を見ると、すり寄っていく。あんたは肌が白い、顔立ちにも...
面白エッセイ

j1187 くっ付けろ

島の方言で、くっ付ける、は「しびしきる」だ。しび、はお尻だ。しきる、はくっ付けろだ。彼と彼女を、しびしきれ!、は「くっ付けろ」と言う事で、お尻をくっ付けさせろ、と言う事だ。人間の親しくなる関係、くっ付く関係、同胞関係をお尻で表現する所あるか...