面白エッセイ

 c1018 貧食時代

現在の飽食時代、パンの耳で過ごす事等、考えられないかも知れませんが、日記に昭和40年当時の状況を見る事が出来ます。「3月29日、月曜日、今日は朝から会社は休み、給料日は目の前だけど、どうしても金が不足。しかたないので、電子工学、図解パルス工...
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c1016パンの耳

ひかる19歳。パスポート持参で、貧しい中での上京。頼る人とて無く、バイトに夜学。バイトの金が入るとラーメンを箱ごと買い込み、コッペパンとの連続。食べ物さえ確保するのが大変な時期でした。何時ものパン屋へ行った、ある日の出来事。顔色は浅黒く頬は...
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 c1015 テレビ初対面

大勢の人が行き来し、ビルへ吸い込まれていく様子を見た時、これはアリンコの世界だと直感。家の庭に数えられないくらいのアリ達が、それぞれの巣を作り、せっせせっせかと働き、食べ物を蓄えていた姿にそっくり。東京の人々が一段と小さく見え、何んで人間が...
面白エッセイ

c1014大パニック

急に走り出す事を全く想定していなかったので、心の準備が出来ておりません。いきなりバランスを崩し、「どう成っているんだ! あー あ~!」と見事に転倒。瞬間、恐怖と驚きで頭の中は大パニック、「止めろ! 止めろー!」と絶叫してしまったのだ。周りは...
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c1013 画像

発電車(ちなみに、徳島の読者より我が県に電車が無い、沖縄にはモノレールがあるではないか、との指摘をうけた。ひかるが上京時、モノレールはなかった)
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 c1012 初! 自動ドア

昭和38年4月、一週間も船に揺られ上京。沖縄は電車のない県ですが、島には車や耕運機すらなく、電車という乗り物は初めての体験。(現在はゆいモノレールが走っています)けたたましく責め立てるベルに、前の人に連られ急いで乗り込みました。すると、あま...
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 c1010 夕陽の涙

年老いた両親と、体の不自由な妹を島に残し、旅立つ息子は親不幸なのだろうか・10歳の遊び盛りに、足の不自由な妹の遊び相手は誰がするのだろうか・・何時迄も、何時までも、元気に暮らして欲しい・・・夕陽は周り一面を真っ赤に染め、西の海へ深々と物悲し...
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c1009 画像

別れ船・・OLYMPUS DIGITAL CAMERA
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c1008 別れの杯

空路が開かれた今では想像出来ませんが、当時、上京するには黒島から朝一便の船で石垣島迄行き、夕方石垣を出港し翌日の昼頃那覇港着、夕方那覇港を出、東京の晴海埠頭まで3泊4日、便数も週2便しかなく更にパスポート持参での上京。もし危篤の知らせがあっ...
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c1007小さな寝息

米国の統治下、勿論、保険制度もなく手術や渡航滞在費等、細々と暮らす一家にとって、とてつもない費用。遊び疲れたのだろうか、妹は膝に抱かれ小さな寝息、ランプの薄灯かりに映し出される、疲れ切った父の横顔は、藁をもつかむ眼差し。普段ですら無口な父は...