面白エッセイ

c1048 杖つく少女

やはり数年もの間、その一言が、忘れられなかったのでしょう。「障害者が免許を取得する場合、東京都には奨励制度があるし、大丈夫だ」と説得すると、長期休暇が取れそうにもない、との事。会社の方には、兄からお願いしよう。長年働き、休暇の目的もはっきり...
面白エッセイ

c1047 乙女心

ひかる24歳。妹が上京するとの事。友人、及び親戚がなく、優しい言葉をかけてくれる人も居ない、厳しい東京で生きて行けるのだろうか。片方の足は完全に麻痺しており、パスポート持参。15歳の少女である。しかし、妹は余り干渉されない東京で、ひっそり生...
面白エッセイ

 c1045 異様な音

人工的に作られた防波堤に叩きつける波は、30メートルものしぶきをあげ、音も想像出来るかと思いますが、大自然の熾烈な戦いは、えぐれた岩の横腹に、下からしゃくり上げる時、しぶきは粉末状に、前方へ飛び散るだけ。搾り出れる音も、これまた想像も出来な...
面白エッセイ

c1044 難問

ひかるが中学生の頃、人生最大の難問にぶつかりました。島の生活や子供達にとって、海は切っても切り離せない重要な存在。都会の子供達が、公園や遊園地で遊ぶように、海と魚は、遊園地や動物園であり、熱帯魚と戯れ、遊んで育ちました。しかし、一度台風が荒...
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c1043 VTR

ロケーションを多用した番組作り、ひかるにとって、それ自体は朝飯前の仕事だ。並行して、大きな壁が目の前に立ちはだかったのである。それは、VTRの問題だ。当時日本では、アメリカアンペックス社のテープ幅2インチVTRが導入され、独占していた。勿論...
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c1041 パスポートから解放

そして沖縄の本土復帰、パスポートを焼き捨てた時、本土の同期の連中と論争も出来る、ケンカも対等に出来る、と目に見えない鎖の呪縛から解放されたのである。そんな事は多分、体験した人にしか分からない事であろう。そんな時、窓外族から、社の中心へ戻るは...
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c1040 360円時代

ひかるは、入社早々ある事件を起こした。友人、上司と府中駅前の飲み屋へ行った時の事である。スナック風の飲み屋で、4人で楽しく飲んでいた。店はママさんと、若い女の子が一人手伝っているだけで、小ぢんまりした店であった。かなりアルコールも回った頃、...
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 c1038 おいタケシ! ヤバかったぜ!

話はタケシの話に戻す。タケシは20代ツービートで漫才をやっていたがチョボチョボでヒットしなかった。当時は大阪の上方漫才、西川ヤスキヨがブームで、東京では萩本欽一と坂上二郎のコント55号、伊東四朗のテンプクトリオやドリフターズが人気。テレビ界...
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c1037 番組、ねるとん紅鯨団

タケシの番組でロケを担当させたMカメラマンを、ねるとんに起用、ロケの経験が豊富で、他のカメラマンとの連携がスムーズに行ったのである。勿論オールロケで、これ程充実した内容の番組が出来る、という事で、業界では予想以上の評価を得る事になったのであ...
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c1036 不毛の時間帯

この番組の放送時間帯は、不毛の時間帯と言われ、なかなか視聴率がとれない売り物にならない時間帯だったが、一変したのだ。この番組が放送されると、業界の人達から見ると、中継車を持ち込んで、かなりケーブルを引き回し、番組が作られていると、思ったらし...