j1175 豊年際


黒島には、かなり古くから伝わる、豊年際の、ハーリー競争がある。
ハーリー競争は、中国や沖縄本島、石垣島や周りでも行われているが、この黒島の場合、かなり違った行事である。
船を漕ぐ競争だけでなく、ウーニーと呼ばれる、走り手、その競争が、かなりメインの役割をする。
写真は、ウーニーの姿で、ふんどしの部分は、肝心なところをやっと覆いつくすばかりで、ケツの方は、ぐるぐる巻きに束ねる。
割れ目に食い込み、下半身がむき出しの状態だ。
勿論、上半身もごらんの通り軽装で、このウーニーに選ばれることは、走りが早く、非常に名誉な事である。
最大の人気者だ。
ウーニーは、強い脛の意味で、健脚という事。そこにも英語が相通じる方言が、見え隠れする。
ウーニーは、村長から杯をいただき、腰くらい迄の所に待っている船に、砂浜、浅瀬を走り、飛び乗る。
そして船をこぎ、沖合にある旗をとって、Uターンする。
帰りは船にスピードが付いている為、深さ胸元くらいの所で、ウーニーは飛び降り、両手で水をかきながら、浅瀬、砂浜、そして、村長の所へ来て、タッチする。早い方が勝ちだという訳だ。
そういう意味では、ただ陸上で走りが早いだけではない。
水中をうまく、走るテクニック、方法が重要である。
また舳先に、ピーゾーと呼ばれる、棒高跳びの竿に匹敵する、竹のさおを付いて、漕ぎ手と、トウージーと呼ばれる、かじ取りと連携する。
返しの場合、ウーニーが、船からとび降りる合図をかじ取りが出す。
舳先のピーゾーと、かじ取りが強引に船を方向転換しないと、ウーニーは、船の下敷になる。
そのタイミングが、危険極まりない状態だが、その為に、漕ぎ手に指示を出し、ピーゾーに指示を出す。
飛び降りる瞬間をウーニーへ指示するのが、トウージーと呼ばれる、かじ取りの重要な役目だ。
また、Uターンをする時、旗を船に取り込まなければ、失格である。
かなりスピードが出ている船で、旗を取れる状態で、Uターンさせる。
50センチでも離れれば、旗が取り込めない。
そこが、トウジーの1番重要な役目だ。
前回、トウージーとトウジ(妻)の話をしたが、その辺に繋がりがあるようだ。
このウーニーハーリーの方式は、他には無く、日本国内ではこの黒島にしかない。
中国のハーリーにもない、なんでこの島にしかないのだろうか?
この島は、かなり古くから他には影響されない、独自の文化があったのではないかと、推測する原点である。
昔から南の島に伝わる、このウーニー、トライアスロンの原点ではないだろうか。

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