東京の放送局、キーステーションに沖縄出身者はひかる一人しかいなかった。
どこで聞きつけたのか、沖縄の若者がキー局で番組制作したいけど、どうしたら良いかという相談、いわゆる就職相談が結構あった。
ひかるの知人に、人格良好すばらしい男がいたので、技術プロダクションを作らせ、毎月一定量の仕事を出し、バックアップ体制をとっていた会社が数社あったので、一人の沖縄出身者、Y君を紹介した。
社長は、貴方の紹介なら100%間違いないと、即座に採用が決まった。
Y君の仕事ぶり評判もよく、そろそろレギュラー番組を持たせてもいいかなと、思っていた矢先、社長からの電話。
Y君が仕事を辞め、親の面倒を見る為、田舎へ帰るというので説得して欲しいとの事だ。
親の事も有るかも知れないが、自分の年を考え仕事を大事を選べ、なかなか自分のやりたい仕事、簡単に手には入らないぞと説得をし、何とか思い止まらする事が出来た。
Y君の評判も良かったので、そろそろチーフとして番組を仕切らせ、テロップで画面に名前が出れば責任感も出、やる気も出すだろう、と思っていた矢先、また社長から電話だ。
また帰郷病が出たという。
今度は何度説得しても田舎へ帰るの一点張りだ。
仕事はどうするのかと聞くと、タクシーでも何でもかまわない、とぬかす。
何でこいつのために仕事を紹介してしまったのか、ましてやこちらの顔に泥を塗るような事までされて、腹が立って往復ビンタをはりたくなった。
とうとう、沖縄へ帰ってしまった。
更に数年後、上京し社長に仕事をさせて欲しいと頼み込んだという。
呆れ果て世の中甘く見るんじゃないぞ、と言いたくなったが勝手にしろ、と言ってやった。
ひかるの知る限りの会社経営者、社長が口を揃えて言うのは、沖縄出身者は田舎へ帰るという病気が2、3年おきに必ず出てくる。
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