テレビ界就職直後の昭和40年、晴海に新設された、零下30度という、冷凍倉庫取材に遭遇。
当時は冷蔵庫自体の普及率は低く、冷凍室付の冷蔵庫は未発売。
冷凍という言葉すらほとんど使われていませんでした。
冷凍倉庫自体も初めての開業で、大きな話題として取り上げられたのだ。
常夏の地で育ったひかるには、零下30度という世界は、かつて今まで生きて来た中では、とても考えられず、即座にコチコチの冷凍人間にされてしまう事しか頭に浮かんで来ません。
いよいよ本番になり、意地悪にも女性レポーターは奥の方へと入って行きます。
仕事なので、やらなければ、という意識はあるのですが、冷凍人間への拒否反応で足が竦み、何時でも逃げ出せるよう、入り口のノブに、しがみ付いているだけ。
本番が終ると、表へ飛び出すと同時に座り込み、二度とこのような仕事はやりたくない、と思いました。
周りからは、「テレビより、お前の恐怖に慄く顔が、一番面白かった」とからかわれ、今だに語り種。
氷や雪など、無縁の世界で育った人間が、冷凍倉庫へ入れ、と言われると冗談抜きに、どうしても浮かんで来るのは冷凍人間。
恐怖を感じ、拒否反応は間違いなく出て来ます。
もし皆さんが、これから乗る飛行機が間違いなく墜落する、と分かっていても乗らざるを得ない場合の事を想像すると、タラップを登る靴は、30キロにも感じるのではないだろうか。
ドアにしがみ付き、墜落寸前に飛び降りたい心境になるかと思います。
ひかるにとって、冷凍倉庫は、このような間違いなく死ぬのではないかと、恐怖を感じるところで、今だに零下30どという言葉は、身震いがするセリフ。
嫌な番組に冬の天気予報があります。
予報官が、「シベリアから零下30度の寒気団が南下し・・・・・・」
聞いただけで、金切り音が奥歯から後頭部へ引っ吊る感じがし、一晩中凍て付き、お願いだから、このセリフだけは絶対にやめてもらいたい.と思いますが、これは自分だけの問題ですので仕方がありません。
せめて、我が家のテレビだけは、このセリフを禁止用語とし、スピーカーから出ないよう、改造出来ないものかと考える、寒がりやの小心者。
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