j1220 マドロス帽


南の島は一年中温暖な気候である。しかし朝晩は冷える。
武蔵爺さんは有り金はたいてラクダのモモヒキとシャツを買った。
着てみるとこれがやたら暖かい。早速周りへ自慢して歩いた。
あまりの自慢に隣の金持ち爺さんが、ほんだらオイラは2着買うべ、と言って買い、着てみる。
これまたあまりの暖かさにモモヒキシャツ姿で自慢をして回った。
それが何時の間にか島中の人達が老いも若きも次々とモモヒキシャツ姿で歩くようになった。
あたかも島中が宇宙人ではないかと思われる位の姿になってしまったのだ。
観光客は港に降り立つとびっくり。宇宙へ来たのかと勘違いする始末だ。
ビヤダル状の杖をついた婆さん、ボケで帰る家が分からなくなってしまい観光客に、私はどこへ帰ればいいかねーと尋ねた。
観光客は宇宙人のイメージがあったもんでつい天を指差した。
婆さんはいきなり怒り出し、私はまだ死ぬ訳にはいかない、と杖を振り回して追いかけた。
あれれ~と言う間に、婆さんは転倒して骨折してしまった
急いで救急ヘリを呼ぶが、当然事故なので警察も同乗して来たが、ヘリポートの周りの人達のラクタシャツ姿に何んだこれは、とびっくり。
とりあえずは怪我人をと急いで石垣島の総合病院へ運ぶ。
緊急入院するがなんと付き添いの人、見舞いに来る人達がこれまたラクダ姿だ。
病院でも話題となり、病院の爺さんが試しに着ると、なるほど暖かい。
爺さんはこれまた得意になって街中を闊歩するようになった。
映画好きな爺さんはその姿で映画館に行く。
当時は石原裕次郎のマドロス姿にパイプが超人気、爺さんはラクダももひき姿に真っ赤なマドロス帽を被り町内を闊歩する。

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