他にもテレビの裏側には、色々なエピソードがあります。
鉄塔での高所取材時、スタッフが本番終了までは無事でしたが、いざ降りる段になり、下を見た瞬間、高所恐怖症が走り、降りるに降りられなくなりました。
下から声をかけるにも、見向きもせずボンドで貼り付けたのではないか、と思われるくらいベッタリしがみ付き、ワナワナと震える姿は人間セミその物、お笑い番組のシーンのようで、笑ってしまいそうですが命にかかわる一大事。
救出作戦は大騒ぎになりました。
思い出したくない事件もあります。
雄巣鷹山日航機墜落事故。取材活動の帰社後、スタッフの食欲が進まず、落ち込みが激しかった事には参りました。
真夏の出来事、犠牲者と泣き崩れる遺族の姿が、あまりにも多過ぎ、山全体を覆う臭気と霊気中での取材。
規制線は無く、生々しい現場を見、精神的に受けたショックが大き過ぎたのです。
食べ物を見ても、衣服を焼き捨てても、風呂に何度入っても、あの臭気が鼻にこびり付き、色々なシーンが蘇って来るのです。
遺族の事を考えると生々しい事を書くと不謹慎ですが、何気なく見ると木の枝に肉片がぶら下がっていたり・・
本当にスタッフの脳の構造が破壊されかねないのです。
極力対話をし、冥福を祈り、元気をとり戻させる迄には、1カ月必要でした。
世の悲惨な出来事でも、いち早く正確に伝えるのがテレビマンの務め。
二度とあのような事故の起きない事を願うしかありません。
世の縮図を背負い、テレビマンは、今日も行く・・
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